2024年3月2日、XRPL Japanディスコードサーバーにて、第2回Monthly XRP Ledgerが開催されました。
前回のMonthly XRPLはこちら。
2024年2月11日
XRP Ledgerの2024年1月を振り返ろう!
イベント主催
技術で分からないことはQさんにきけ!
本記事内のスライドはQさん作です。
Xamanで分からないことはまいさんにきけ!
開発者Qさん選✨今月の技術アップデート
XLS-46d Dynamic NFT
XRPL人気NFTマーケットプレイス、xrp.cafeのVetさんが考案した、NFTのURI(メタデータ)を変更可能にするプロポーザル。
Qさんが実装をサポート!
Evernodeを利用して外部から価格情報を取得し、NFTメタデータ内の価格を自動更新する、会場で承認した入場券NFTを参加済みの絵に変える(memoさん)、ゲームと相性が良いのでは?など、各々のアイデア話に花が咲きました💐
詳細はGitHubのXLS-46dでご確認ください。
XLS-60d DefaultAutoBridge
Qさんが考案した、Paymentトランザクションにおいてもデフォルトでオートブリッジを使用できるようにするプロポーザルです。
皆さんは、Monthly XRPL過去回でQさんが話されていたのを覚えていらっしゃるでしょうか?
XLS-30はAMM、XLS-40はDIDとキリの良い番号のプロポーザルは大きいものが続いているので、60を取るのは気が引けます。
これが、そのプロポーザルです🙌
そもそもAutoBridgeとは?
トークン$AAAをトークン$BBBにスワップするとします。
この時、$AAA/$BBBの直接パスに加え、$AAA/$XRPおよび$BBB/$XRPを経由できるようにするのがAutoBridge機能です。
OfferCreateトランザクションではAutoBridge機能がデフォルトで有効なのですが、Paymentトランザクションではそうではありません。
XLS-60dの提案内容
XLS-60dでは、PaymentトランザクションでもAutoBridgeをデフォルト有効化し、Path
が未指定の場合でも直接ペアおよび各トークンと$XRPのペアが使用されるようにします。
どんな問題を解決するのか
現在のPaymentトランザクションでは、Path
が未指定の場合、2つのトークンの直接ペアのみが使用されます。
$AAA/$BBBの流動性がほとんどなかろうが、レートが悪かろうが、$AAA/$BBBの直接ペアが使用されてしまうのです。
一般的にチェーンのネイティブトークン(XRPLでは$XRP)ペアは流動性が高い傾向にあるため、$AAA → $XRP → $BBBと$XRPを絡めた複数の流動性を利用してスワップすることで、より良いレートでの取引が期待できます。
AutoBridgeとPathFindingの違いは?
XRPLには、AutoBridgeに類似したPathFindingという機能があります。
- AutoBridgeは、プロトコルがやってくれるのでユーザーが意識しない
$AAA→$BBBのスワップをする際、$AAA→$XRP→$BBB経路も確認して、リターンの良いほうを採用してくれる。 - PathFindingは、ユーザーが明示的にパスを探さないといけない
※ウォレットやアプリで対応していればそちらでやってくれる。
XRPL生みの親、Davidさんからのコメントも!
Ripple CTOであり、XRPL構築に深く関わってきたDavidさんは「なんや、これまだなかったんか。AutoBridgingがあったら、$AAA→$BBBのオーダーブックが使われるたびに$AAA→$XRP→$BBBのパスが考慮されるはずやで。」と反応。
XLS-60dは投票開始までどれくらい?
こちらについてはまだ予測できないそう。
必要なレビューがいつ始まるかも未定です。
気になる内容はGitHubのXLS-60dでご確認ください。
XLS-61d CrossCurrencyNFTokenAccept
こちらもQさんが考案した、NFT販売者と購入者それぞれが異なる通貨でトレードできるようにするプロポーザルです。
実現すれば、NFTプロジェクト(販売者)はNFTを$XRPで販売し、ユーザ(購入者)は$USDTで購入する、といったことが可能になります。
「NFT購入前に自分で$XRPを購入すれば良いんじゃ?」と思った方、まさにその手間を省くアメンドメントです。Qさんの「さまざまなトランザクションでネイティブDEXの流動性を活用したい」という思いも込められています。XRPLへの思いを感じますね・・・!
こちらの図でざっくり概要を把握していただけると思います。各ステークホルダが、それぞれの希望する通貨で対価を受け取れる仕組みです。
要検討事項あり、これから議論!
もしNFT販売者がOnlyXRP
フラグ($XRPのみ受付)を設定していても、購入者は$XRP以外のトークンで支払うことができ、販売者は設定通り$XRPで対価を受け取ります。
これは裏側でスワップしてくれるためです。したがって、購入者の支払いトークン→$XRPをスワップするための十分な流動性がない場合は、取引が失敗する可能性があります。
提案には、発生するスワップ手数料の取り扱い、ネットワーク負荷が増大する可能性など、いくつかの懸念事項が注記されています。
ほっちのつぶやき
もし受け取り側の誰かがFee(いわゆるTax)のあるトークンを指定している場合、どんな風になるんだろう?購入者がFee込みの価格を支払うのかな?
XLS-61dは、実質的にはXLS-60dの有効化が前提の双子アメンドメントです。懸念事項含めこれから議論が進んでいくと思われますので、ぜひGithubのXLS-61dをチェックしてください。
XRPLとEVMを繋ぐDuckなブリッジコンセプト「AQUADUCK」🦆
人気NFTコレクションWTDのデザイナー・君さん(@cloned_u)とCrossmarkウォレット開発者・Ryanさん(@interc0der)がコラボして生まれたXRPL-EVMブリッジコンセプト「AQUADUCK」。
2月27日にETH DenverでのXRPL Zoneにてお披露目されました。
サイト随所に散らばるアニメーションがあまりにかわいく、「ずっと見ていられる」との声が上がりました。
君さんは今後もリードデザイナーとしてAQUADUCKと関わる可能性があるそうで、引き続き日本人NFTクリエイターの活躍から目が離せません🦆
🍫単独記事に詳しく書きました!🍫
2024年3月1日
🦆 XRPLとEVMサイドチェーンを繋ぐブリッジのコンセプトプロジェクト「AQUADUCK」の紹介+アルファです。
まいさん的翻訳ソフトランキング
君さんが英語コミュニケーションに関し「DeepLで日本語→英語 英語→日本語 で意味が変わっていないか確認して送っている」と発言されたのをきっかけに、まいさんからタメになる情報が。
NotionはChatGPTをカスタムしたやつかも。
私は英語ドキュメントを読むのが面倒くさいの概要だけ把握したい場合はDeepL、いろんな言い回しを考えたい場合はChatGPTの力を借りています。Notionでの翻訳は未体験なので試してみなくては。
Qさんのお役立ちツール一覧
Monthly XRPLで度々紹介されるQさんのXRPLツール一覧はこちらから!
https://tequ.dev/works
XAH Teleport xApp登場!
$XAHをXRPLーXahau間で簡単に送ることができるxApp「XAH Teleport」がXaman Proユーザ向けにリリースされました。
転送アニメーションはWietseさん作。
- シンプル特化なので、現段階では送るトークン数量指定はできない。
自動で全量送付になる。 - $XRPなど$XAH以外のトークンもSoon!
Have you teleported yet?
— Meister {x} 💎🪝 (@xrpl_mworks) March 1, 2024
XAH - Teleport, Currently only available to Xaman Pro Users. #xah #teleport #xamanProUser pic.twitter.com/2S9y31ZqNF
ちなみに$XAHの読みは「ザー」とのこと!
XamanからNFTコラボTangemカードが出るかも?
Idea: bunch of appreciated, well respected NFT artists out some NFT's in a pool. They get randomly assigned to Xumm Tangem cards
— WietseWind (🪝🛠 Xaman @XRPLLabs) (@WietseWind) February 29, 2024
The cards can be ordered, delivered around the world in a few days per express mail
Upon first use, the card gets activated and your NFT is unveiled
XamanのWietseさんが「Tangemカードを用いてXRPLアカウントをアクティベートすると、そのTangemカードに紐づけられたNFTが明らかになる」というアイデアを共有しました。Tangemカード自体にNFTをプリントすることも検討できるのだそう。
ウォレットにNFTを設定するアイデアはCrossmarkウォレットも採用しており、評判が良いのでこちらにも期待です✨
私が署名のたびに愛でているCiana犬、見てください。
まいさんいわく、Wietseさんは「TangemカードにランダムにNFTを割り当てる」構想をお持ちだそうなのですが、軽率に沼る傾向がある私としてはどうかどうかNFT指定オーダー制をお願いしたいところ。
目当てが出るまで延々ガチャガチャ回すタイプだもの・・・
今月の雑談タイム
Monthly XRPLの今後について
開催時間は今のままで良いのか、配信媒体はどのようにすべきかなどが話し合われました。 まいさんがアンケート実施中なので、ぜひご参加ください!
<Monthly XRPL Japan >
— Mai🪝@Xaman(ザマン) (@Mai_XUMM) March 10, 2024
これまで平日20時からDiscordで開催してましたが、皆さんが参加しやすい時間帯についてお伺いしたく!
アンケートにご協力いただけたら幸いです🙏
ちなみに次回はXのSpace(音声)とDiscord(主にコメント)で開催予定です。
いつなら参加しやすいですか?
AMM(XLS-30)の投票状況は?
[3月9日追記] Monthly XRPL開催時はまだAMM賛成票が80%を超えていませんでしたが、3月8日に閾値を超え、3月22日有効化に向けた2週間のカウントダウンが始まりました。
AMM賛成票は2月に一度は80%を超えたものの、その後エッジケースでバグがあることがわかりました。
「たとえマイナーでもバグがあるのを分かったままリリースするのは良くない。修正が先だ」と判断したバリデータの賛成票取り下げで、有効化は延期となりました。
AMM有効化決定に意気揚々とマスコットキャラをリリースしたOrchestra Financeは、逆再生ビデオでユーザにいじられることに。
— Spoony (@NftSpoony) February 7, 2024
そんな経緯もあり、『AMMはバグ修正アメンドメント(fixInnerObjTemplate)実装後に可決されるか、両アメンドメント同時期に可決してどちらも有効化に向かうのでは』と予想していた人が多かったのですが、現在は
- AMM賛成票は80%超え。3月22日有効化へ向けてカウントダウン
- バグ修正アメンドメント(fixInnerObjTemplate)はまだ投票中
という事態になっています。
バグ修正してからAMM有効化したかったんちゃうんかいっ?!とツッコむ人たちもちらほら。
「エッジケースのバグを脅威とみなさず、AMM賛成票を取り下げなかった」かつ「バグ修正アメンドメントにまだ投票していない(もしくは反対している)」バリデータが多めなことが、この状況を招いたようです。
バグ修正を実装してからAMMを有効化したかったバリデータは残念に思っているかもしれませんが、これも意思決定が分散化されているということで・・・。
ほっちのつぶやき
個人的には、バリデータの投票意図が説明される一意の場所があると良いと思っています。Twitterで表明してくれるバリデータもいるのですが、投稿を探し出すのは骨が折れます。
XRPLのアメンドメント投票では、投票開始時のデフォルト立場が「反対」です。そのため「まだ投票していなくてデフォルト反対票」なのか「意図して反対票を投じている」のかがよくわかりません。説明責任を付ければ、ついでに投票の遅さも改善されそうなものですが・・・。
ただ、XRPLのバリデータは、ネットワークに貢献するため労力をかけてくれている人がほとんどです。(RippleからGrantを貰っているプロジェクトの人もいますが、バリデータ運用のためGrantをもらってはいないはず)
そのため、彼らにさらなる手間を押し付けるのはアンフェアでもあります。ボランティアにめっちゃ注文つけられたら嫌ですよね。
Davidさんの掲げる「最善のインセンティブはインセンティブがないことである(The Best Incentive is No Incentive.)」の難しいところです。
xSPECTARベータ版ローンチが楽しみ
Unreal Engine5で開発しているのでクオリティに期待!
The xSPECTARverse beta is officially live and open to xSPECTAR Agent holders!
— xSPECTAR ™ (@xSPECTAR) March 11, 2024
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その他、質疑応答
Q. まいさん、Qさんは海外住みなの?
A. 日本住み!
Q. QさんはXRPL Labsの人なの?
A. Qさんはフリーの開発者で、まいさんがXRPL Labsの人。
Q. Xamanはオフィスありますか?リモートワークですか?
A. 大部分のチームメンバはオランダにいて、カナダやエストニアにも。基本リモートワーク。
Q. Evernodeを使えばEthereumで使用しているコードを使いまわすこともできますか?
A. できます。Evernodeインフラレイヤの上にSolidityプログラム乗っける感じ。
あとがき
2月も盛りだくさんなXRPLでしたが、どうやら3月はさらに忙しく情報を追いかけることになりそう・・・!
XRPL日本NFTコミュに興味のある方は、ぜひXRPL日本ディスコードサーバーまで!
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